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うひょひょひょひょひょひょひょひょ。 うひょひょひょひょひょひょひょひょ。 うひょひょひょひょひょひょひょひょ。 宙に浮く10匹の『それ』は今にも私に襲いかかりそうだった。一方で早紀は手術室の奥に引きずり込まれまいと耐えている。私は両手で掴んでいる『それ』をそのまま思い切り床に叩きつけた。西瓜が砕けた様な音。ひょーっ。ひょーっ。まだ『それ』の意識がある。もう一度叩きつける。さらにもう一度。さらにもう一度。そして、動かなくなった『それ』を頭上の10匹に向かって投げつけた。 ほわっ!! 10匹のうち、2匹がその衝撃で後方に吹っ飛んだ。残りが襲い掛かってくる前に立ち上がって、早紀の方に向かって走る。 「早紀!手を掴め!」 そう言いながら、私は早紀の手を掴んで引っ張った。どこにも怪我がないと分かって安心した。背後の8匹は襲い掛かるチャンスを伺っているのか、宙を何度も何度も飛び回っている。今しかない。私は早紀の手を引っ張りながら、MRI室に向かって走った。 走れ! 走れ! 走れ! 走れ! MRI室にたどり着くと、そのまま中に入り込んだ。勢いよくドアを締める。どん。どん。どん。何かがドアにぶつかる音。あと5秒締めるのが遅れていたら危なかった。どん。どん。どん。何度も何度も音が続く。だが、もう大丈夫だ。 「はぁ、はぁ、さ、はぁ、はぁ、さ、さ、早紀、はぁ、大丈夫か?」 早紀の返事がない。矢張り怪我していたのだろうか。早紀を見ると、私を指差していた。いや、私の背後を指していた。振り向くと、茜が背を向けていた。 「・・・茜?」 目を凝らすと、茜の足元に誰か倒れている。一緒にMRI室に逃げ込んだ老婆だった。茜が老婆に馬乗りになっているのだ。アイスクリームを舌で舐める様な音もする。 「茜、何をしてるんだ!?」 どん。どん。どん。ドアを叩く音が止まない。茜が振り向く。茜の表情は、妻と同じく灰色に染まっていた。老婆は顔の半分を殆ど食われていた。 「お、お、お、お、おとう・・・」早紀の掠れた声。 茜の口の周りは、スパゲティのトマトソースの様に血がべっとり付いている。茜は立ち上がって、私の方に近づき始めた。 「おとう・・・さん・・・おと・・・・うさ・・・・・・
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