とある手芸品の販売会場

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「まだ売れないけど、見るのはいいよ。大体準備終わったから」 じーっとその星空の作品たちを見ていた少女に、私がそう声をかけると、少女の表情が曇った。 「あー、ごめんなさい。わたし、お金もってないから買えないです。邪魔してごめんなさい」 ピョコンと頭を下げてから、少女はここから離れようとした。 「待って」 咄嗟に私は呼び止める。 「そんなに気に入ったなら、ちょっと待って」 机の下、搬入用の袋から私はそれを取り出す。 「品物はあげられないけど、これなら。ちょっと失敗して表面がデコボコだし、なかに泡も入っちゃったんだけど、これ、あげるよ」 それは、売り物にはできないと判断したもの。 けれど、もったいなくて捨てられなかった。 ペンダントのひもこそ通っていないが、モチーフは同じで、透明の球の中には星空。紫と藍色の背景に、銀の星々。 「いいの?」 「いいよ、あ、ついでに宣伝してよ。こんなの売ってる人がいるって」 ふふっと、私が笑うと、少女はパッと顔を輝かせた。 「ありがとう、お姉さん!」 そうして、丸いモチーフを受けとると、ピョコピョコとかけていった。 「気に入ってくれて、よかった」 なんだかうれしい気分になっていると、開店十五分前のアナウンスが流れた。
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