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そこで俺は気づいた。
女の子は、とても塾帰りには見えない格好だったのだ。どこか薄暗い街頭のもとでもわかる。
黄色っぽいワンピースに白いカーディガン。
黒タイツ(?)にショートブーツ(多分春物)。
背は低く、髪は少しふわふわしている。
キラッと輝くのは、三日月のヘアピンだろう。
で、手ぶら。
手ぶら。
何してるんだ、こんなところで。
思わず尋ねたくなるような見た目だった。
「星は見えなくてもあるよ」
女の子が言う。
「知ってるけど。てか、なに?なにか用かな」
「ここじゃあ星なんて見えない、みたいな顔してたから。見えなくても、ちゃんとあるよって、言いたいの」
「……?」
よくわからない。なんだ、この子。
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