ハルとユキ

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夏のある日、ハルは信じられないくらい綺麗な女の子に出会った。 その子は公園の砂場で、何をしたらいいかわからないというように立ちすくんでいた。スノードロップの花のような白いワンピースを着ていた。 ハルは思わず声をかけた。 「ねえ」 振り返ったその子は、驚いた様子も見せずに、涼し気な光を浮かべる瞳を瞬かせた。 「あたしはハル」 「わたしはユキ。ユキって呼んで」 その子は、まるで生まれたばかり赤ん坊のように純粋な笑顔を浮かべた。 ハルが手を差し出すと、ユキはそっと小さな手を預けてきた。その白く柔らかい手は、ひんやりと冷たかった。 ハルとユキはすぐに仲良くなった。 たくさん遊んだ。人形遊びもかくれんぼも縄跳びも、同じ年頃の女の子がやる遊びは全部二人でやった。楽しくて仕方がなかった。どんなに一緒にいても飽きることはなかった。
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