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ん?誰もいないのに、この声はどこから聞こえる?空耳?
「ここだよ!ここ!」
何か下から聞こえるんですけど。
「だから、ここだってば!」
え?ドコ?確かに聞こえるんだけど。
「君の後ろ!」
ぼくは、声の主を探して、後ろをふりむいた。
誰もいないじゃん。と言おうとしたら、そこに1匹の猫がいた。え、猫、しゃべるのか?
「オレはシロ。見た目は黒いけどな。猫だけど人間の言葉がわかるんだ!すごいだろー!」
猫がしゃべる?何で?どうして?頭の中、はてなでいっぱいで、何も言葉が出てこない。
「ちょっとぉ、何かしゃべってよ、マモル!」
何で、ぼくの名前まで!この猫は、何者?
「こんにちは」こんな言葉しか出て来ない。
「こんにちは」シロは、うれしそうにあいさつした。
「オレの事は、おいといて、なんかマモル、困ってるみたいね」
そうだった、ぼくはひどい点数をとって家に帰りたくなくて、どうしたらいいか悩み中だった。突然のシロの登場で一瞬忘れてしまった。
「家に帰りたくないんだ」
「ほほう」
「テストでひどい点数をとってしまって、お母さんに怒られるのが怖いんだ」
「ふむふむ」
「どうしていいか悩んでいる」
「そうか」
「やっぱり素直に今回は怒られたほうがいいのかな。う~ん、でもお母さん怖い!」
「…悩むね」
「だろう」
何でぼく、こんなに夢中にシロと会話してるんだろう。まぁ、いいや。何か頭がすっきりしてきたぞ。良い考えが浮かぶかもしれない。
「で、どう思う?何か良い考えが浮かんだ?」
シロは、くるりと後ろを向いた。
「オレは猫だけど、何かが足りないんだ。何だと思う?」
答えをくれると思ったシロに逆に質問されてしまい、ぼくはちょっとだまってしまった。
なぜ、シロはこんな事を言うのだろう。ぼくの悩みとは、まるでちがっていたので、さっぱり分からなかった。
「マモル、早く答えて!オレ帰っちゃうよ」
シロは何て勝手な猫なんだ!
「ぼくの質問にまず答えてよ」
「ああ、テストの点数が悪くて、おかあさんに怒られそうな件ね」
「あれは、簡単なことだよ」
「素直に怒られればいいんだよ。勉強していないマモルが悪い」
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