第1章

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 そんな…シロからこんな言葉が返ってくるとは思いもしなかった。言葉がしゃべれる猫なんだから、もっとすごい解決方法を教えてくれると思ったのに、なんだかがっかり。まぁ、しょせん猫だから自分のことは自分で考えろってことですかね!はいはい分かりました。ぼくは、かなりなげやりになっていた。 「それが怖いから悩んでいるのに」 「何が怖いって」 「だからお母さん」 「何でお母さん怖いの?マモルを産んでくれたたった1人のお母さんがなんで怖いの?」 「恐いものは恐いの」 「どういうところが」 「すぐ大声出すし」 「マモル、お母さんの気持ちって考えたことある?」  「ん、お母さん?」  「何でマモルを怒るのか、考えたことある?」 「何でって、怒りたいからに決まっているじゃん」 「マモル、やっぱり分かっていない。そこが分かるときっと怒られないよ」  シロのよく分かったような分からないような話を聞いてまただまってしまった。 「悪いが、そろそろ時間だ。オレの質問は次に会う時までの宿題だ。短い時間だったが楽しかったぜ。またな」そう言ってシロは、ぼくの目の前からさっと消えた。    シロの後ろ姿はとてもかっこ良かった。ねこのしっぽってあんなに長いんだ。 「何が長いって?」後ろからお母さんの声がした。  やばい、いつの間にか家に着いていた。今日はシロの言う通り素直に怒られよう。そして明日から、国語がんばろう。シロありがとう。
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