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孤独な男がいた。
わがままな男で、ほとんど友人もいなかった。
若い頃は良かったが、歳を取ってくると誰にも顧みられないことが虚しくなった。
男は家族には特にわがままだったので、子供たちからとっくに縁を切られていた。
妻は何年も前に病気で亡くなった。
亡くなるとき、妻は家族を案じて笑顔で逝った。
泣き崩れる男を、子供たちは罵倒した。
「あんたのせいで母さんの病気は悪くなったんだ!」
妻が体調が悪いと言うと、男は不機嫌になり、妻を家に縛り付けた。
それで病気の発見が遅れた。
定年退職してから、男のわがままはますますひどくなっていたので、長年夫の顔色をうかがっていた妻は体がつらくても言い出せなかった。
妻が逝ったことで子供たちから完全に愛想を尽かされ、男は独りになった。
趣味もなく、毎日テレビに向かって文句を言うだけの生活を送っていた。
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