異世界紀行

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ガテー ガテー パーラガテー パーラサムガテー。何でか、脳裏にそんな詞が浮かぶ。大ぶりの花弁が一片糞尿に塗れ落ちている。  そんな場所であるので洩れなく臭気に満ちているのではあるが、最も強烈なのはは肉、たんぱく質が異常発酵している臭いである。が、不思議と嫌ではなく寧ろ懐かしく、幼いころの知己に会ったかのような、郷愁を思い出してしまったかのような錯覚を覚えてしまうほどであり、クミン嬢の上記逸脱に逸脱したその異能に今まで以上に恐れおののいてしまうのだ。  「まだ能力は出していないのだけれど、どうかしら。そろそろ尊敬の念が生まれているんじゃない?勿論、そうこのワタシに」  そうだ、疑いの一切混じらない尊敬、畏怖、恐怖と混沌を感じる。クミンは絶対であり僕の信仰の対象として申し分がない。近衛を仰せ使い頂き誠に有難いばかり。それはかないようが無い実力差があるからであり、だがしかし、クミン嬢に対し情愛を宿しているのも事実である。  「でわ、胸骨にワタシの物である証をこしらえてあげましょうね。この毒牙で直に刻み込んであげる。痛いらしいわよ?三日三晩七転八倒の末イッパシの下僕になるそうよ?よかったわねぇ」  見えない触手の先に、これまた見えない毒牙を有していると。それで僕を切刻む……流石にそれは残酷すぎやしませんか?強化されていても三日三晩なんでしょ?お腹に穴が開いても何とも無かったのにですよ?  「わーったわよ。ジタバタ騒がないでって、騒がしいのは嫌いなんだから。わーった!アッチに戻るから騒ぐな!」  ヤダヤダ!痛いのは嫌いです!ジタバタやめません!  「喰うわよ?」
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