百合丘帰還

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百合丘帰還

脅され凄まれ、張り倒され吹っ飛んだその先にさっきにこの世界に来たゲートがありマンガのように潜り抜け、この公園に舞い戻ってきたのである。何の変哲もない雑草がはびこっている寂れた弘法松公園の木々草花を撫でる風は健康的な夏の夜を感じさせてくれる。死臭糞尿の香しい臭気が一切無く、ちょっと汗臭くそれでいて男として最高の感触が顔面をつつ……む事は出来ない感じの控えめな胸が顔面に当たってる。  「幸福とは何ぞや。生きること、楽しい事、快楽をむさぼっていること。反対に痛みや不幸を感じることで幸福を知ることもできる、とも言えるでしょう?どれくらいの痛みを感じれば己の幸せを感じられるか、痛みの度合いから導き出す実験に付き合ってくれるかしら?」  ひっ。と思ったがいつまで待ってもダメージを感じない。ダメージどころかなにも起こらない。こんなことは今までに一度もなかったのでかえって不気味である。  「ちょっと散歩しようよ」  クミン嬢がおもむろにそう呟く。消え入りそうな声で、しかし強い意志を感じる声で言い終わる前に歩き出した。       
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