異世界紀行

3/6
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/12ページ
 さて、先ほど見たゲテモノの大群は何故か見当たらない。遠巻きに狐の仮面を掛けた少年が岩陰より窺っているのが1人。 ゲテモノの大群がいなくても湿気とむせ返るような臭気に眩暈がする。  「やっぱり居なくなるか。ボスが来ると逃げるのよ雑魚は。仕方ない、私の家まで来るといいわ」  こっちだ、と半ば強引に導かる。10歩程間をおいて狐仮面の少年が追随する。  「お嬢様。何故そのような人間をお連れになってお帰りになるので?」  「趣味よ。ワタシを無視した数少ない人間。お父様はいらっしゃるかしら」  「ソトース様は『娘に喰われる!』と言って最下層までパトロールに」  はぁ、溜息がクミンより吐かれた。ならば、と大地を拳で打ち抜くクミン嬢。驚いたことに地面を割り深淵も深淵、大地の底まで切り裂いた。最早ここまでくると何も言えない。おそらくクミンはこの世界でも規格外の能力を持っているのであろう。  ところで、何故彼は狐の仮面を被っているのだろうか。  「醜い面を主人にさらけ出さない為よ。ここの連中ったら大抵醜くて仕方がない。私は人間の姿にならなくても十分美しいんだけどね!」  何となくだが人間に嫉妬している?まぁ基本的に皆さんゲテモノですからね、わかります。イソメは強烈でしたねぇ……何となくですが皆さん基本的に『毛』が足りないと思うのです、触角はやたら生えていますけどね、多すぎる手足とか。     
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!