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とある黒子山羊1
深夜の古びた商店街のアーケード。
腕を組み仁王立ちで前方を睨め付ける女。何だか気持ち悪いので関わらないよう無視し通り過ぎる。女の視線は瞬きもせず真っすぐ見続けている。僕の存在は見えていないかのように。
その刹那。僕は宙を舞った。何が何だかわからないが世界が回って見える。実際回っているのだ。アーケードを突き破りコマのように回る地面と夜空を眺めた。
おそらく高速回転していたのだろう。ゆっくり回っているように感じるが、道行く車の動きもゆっくりと見える。極めつけは夜空に亡くなった筈のお祖母ちゃんが笑顔で手招きしていることだ。
案外最期を迎えるときは何も感じないもので。もっと楽しく生きていけたら、女の子と付き合ってみたかった。18で終わるのは流石に親不幸かな?でもお祖母ちゃんは笑っているし、そんなこともないのか、な。
「貴方、今私の事シカトしたでしょ?こんなにかわいい女の子がこんな時間にこんな場所でポーズ決めていたらふつう気になるでしょう?」
全くこれだから人間は嫌いなのだと独り言ちる。人間嫌いにも程があるのではないか思うのだが。
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