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「確かに。ヒグマに背中をパックリ割られたのを、猫に引っかかれたと言ったのは、さすがに無理がありましたね」
……それは無理以外の何物でもないね……。
……生きてること自体、無理だね……。
「そういうのも全部含めて、桜ちゃんの女子力だからね」
ニッコリの彰君。
女子力って、……きっと、1%の努力と、99%の才能なんだね。
「彰ッ」
「桜ちゃん」
互いに互いの名前を呼び合いながら2人は抱き合う。
もう、疲れたから早くキスして終わってくれと、私は思う。
ところが、
「ついでに言うとさ。僕、実は全身整形なんだよね。ま、桜ちゃんの嘘に比べたら小さな嘘だけど、……これでおあいこってことで、さ」
と、彰君。
「おあいこであります」
と、桜さん。
「……………………」
最早、何を悲しんだら良いのかすら理解できない。
私は声を殺して泣いた。
そして、2人は誓いのキスをする。
参列者が灰になって風化している最中、何故か、部長だけが涙を流して祝福の拍手を2人に浴びせまくっていた。
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