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入場
「良かった。間に合ったァ」
息を切らしてチャペルに入ると、そこには既に沢山の参列者が集まっていた。
時計を見れば開始の1分前だ。
危なかった。
ちょっと前には部長はじめ、会社の同僚の面々がある。本来なら私もあそこに加わるべきなのだろうが、時間がない。合流は披露宴に移動してからにしよう。
そう思って、私は最後尾の端の席に座った。
正面にある祭壇には外国人の神父さんがいて、その前にはタキシードを着た彰君の姿があった。
タキシード姿がとても絵になっている。
彰君が結婚かァ。
私は微笑みながらも溜息を吐いた。
彰君はとにかくイケメンである。
会社の中に隠れファンは多い。
何を隠そう、私もその1人だ。
まさか、彰君が結婚なんて……、
結構ショックだった。
誰もがそう思った。
彼女が居るなんて素振りは少しも感じられなかったから、後輩女子社員には寝込んじゃった人も居たとか、居ないとか……、
そんな中、
「ソレデハ 新プ ノ 入場デス」
神父が宣言した。
ん? 今、新婦の発音が……?
っと、やばい。今は彰君の花嫁を見ねば……。
皆の視線が扉の方へと向く。
扉が開いて……、
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