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……ああ、そっちか……。
何故だろう。ホッとしている私が居た。
「俺と逃げてくれッ」
金髪イケメンが彰君の手を引いて彼を壇上から引き摺り下ろす。
花嫁登場の時は一切の沈黙を守っていた女子陣が、ここでは歓声を上げていることは、まぁ仕方ないことだろう。
「やめろよッ」
祭壇の下まで来て、彰君は金髪の手を振り払った。
だが、金髪イケメンも引かない。
「やめねェよッ。やめれねェんだよッ」
金髪イケメンが彰君を壁際に追い詰め、いわゆる……、
「「「きゃあ、壁ドンッ」」」
女子陣が嬉しそうに悲鳴を上げる。
私もそれに乗っかろうとしたのだが……、
【【ドンッ】】
突如、チャペルに轟く爆発音。
見れば桜さんが、
「不埒な賊めがッ。彰は渡さんぞッ」と、ピストルを構えていた。
こんなこともあろうかと、職場から拝借してきたのだろうか?
そんでウエディングドレスのスカートの下の大腿筋の辺りにでも隠していたのだろうか?
壁には生々しい銃弾の痕が刻まれている。
銃痕は金髪の頭部の横、僅か数ミリの場所。
「「「きゃあああぁぁぁぁッッ、壁ドンッッ」」」
今度は完全な悲鳴が上がった。
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