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そのドレスの下にダイナマイトを隠し持っていないことだけを、私は願った。
ゴクリと、私は緊張を呑み込む。
「彰。私は、毎朝、スムージー飲んでいると言いましたが、アレ、……実はプロテインなのでありますッ」
え?
「それだけじゃないのでありますッ。ダイエットのためにジムに行くって言ってたあれも、実はガチで筋トレしてたのでありますッ」
は?
私は一応、もう一度、改めて桜さんの有り余る筋肉を確認する。
しかし、何度確認したところで、完全に総員第一種戦闘配置モノの筋肉だ。
今にも泣き崩れそうな桜さんに向かって……、
「……ゴメン。桜ちゃん。僕、全部、知ってたよ……」
彰君は爽やかな優しい笑顔で答えていた。
私は考える。
これは所詮、アメコミヒーローのフィクションだ。
翻訳家に重大なミスがあって、吹き替えの台詞が混乱しているんだ。
そう思いながら、私は事態を見守る。
「嘘でありますッ。だって、彰は私の女子力が好きって言ってくれたではないですかッ。だから私は彰に嫌われたくないと、つい……」
女子力ッ?
翻訳家さんッ。誤訳ですよッ。
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