滴る鉄の網

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 いら立ちながら、晴人は報告文を書き終える。それを送信すると、すぐにゲームを終了させた。 「はあ…」  晴人が吐く息は重い。  帰ってくるまであれだけ明るかった気持ちが、一瞬にして真っ暗になってしまった。 (最悪だ…今日は徹底的に遊ぶつもりだったのに)  ゲーム機の電源を切る。  駆動音が消えたそれを数秒間眺めていたが、やがて彼はゆっくりと顔をうつむけた。 (こりゃしばらく…ログインするのやめといた方がいいかもな。なんなんだよ、もう…)  ここ最近ないくらいに高まっていた気持ちが、地の底にまで叩き落とされた。それによって晴人の体から力が抜ける。  重力に抗えなくなった体は横に倒れていき、彼もそれを止めようとは思わなかった。  だが、彼は自分とベッドの位置関係をもう少しよく確認しておくべきだった。その頭をベッドの縁に打ちつけてしまう。 「んぎっ!?」  悲鳴をあげて床に倒れ込む。激痛に悶えながら、両手で頭をかばった。 「クソすぎる…!」  くぐもった声で晴人はつぶやく。  その後、痛みが治まると、彼はSNSを見ることもせずにすぐ眠ってしまった。  それから数日間、晴人はネットゲームをプレイせずに過ごした。  SNSで自分を心配してくれるフォロワーへの返礼に追われるか、そうでなければ他のゲームで遊んだ。     
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