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しかし、一番気に入っているゲームができずにいることで、気分はずっと晴れなかった。他のゲームで遊んでいても、ネットゲームのことばかりが気になった。
(くそ…あとちょっとポイント貯めれば、新しい装備を交換できるのに…)
フォロワーへの返礼も落ち着いたところでSNSをぼんやり見ていると、他のプレイヤーが新しい装備を自身のキャラに着せているスクリーンショットが流れてくる。
晴人ももう少しでそれができただけに、今プレイできないことが余計に悔しく思われた。
何度かゲーム機を起動させようと思うこともあったのだが、今は『ジャギュリオン』と化した迷惑プレイヤーの存在が、彼の気分を重くする。
(…やめとくか…)
ネットゲームを開始してすぐにはいなくても、やがて近づいてきてまた恨みの言葉を吐いてくるのではないか。そう思わされること自体が、心理的な負担となっていた。
(なんでオレがこんな思いしなきゃなんないんだよ…運営からなんか回答とかないのか)
晴人はそう思いながらスマートフォンの通知欄を見るのだが、そこにメールアプリのアイコンはない。つまり新着メールはないということであり、運営からのメールが来た可能性もないということだった。
しかし、端末にまったくの変化がなかったというわけではない。
「…おっ」
晴人は思わず声を出して、画面から顔を遠ざける。
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