滴る鉄の網

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「気にはなってたんだけどさ、ひとりじゃなかなか入れなくてな~」 「…お前、チャリ買う時にも似たようなこと言ってなかったか?」 「そうだっけ、へへ」  隆はニカッと笑ってみせる。  その笑顔を見て、晴人は気づいた。 (ああ…心配してるけど、訊かずにいてくれるのか)  晴人がいつもの様子とちがうのは、隆にもわかっていたはずである。にも関わらずそれを直接訊かずにいるのは、隆なりの気づかいなのだろうと晴人は思った。  そこへ、隆はこんなことを彼に尋ねてくる。 「で、なんかあったのか? ハル」 「なんだよ訊いてくんのかよ」  自分の考えから見事に外れた隆の言動に、晴人は思わず笑う。  彼の笑顔を見た隆は、胸を張ってこう返してきた。 「そりゃそーだろ。オレはお前の心なんかわかんないんだぜ?」 「自慢になってねーよ、あはは」 「へへへ。まあ、言いたくなきゃ言わなくてもいいんだけどさ、訊くならストレートに訊いた方が、お前も話しやすいかなって思ってな」 「なるほどな。…ちょっと、ゲームで迷惑なヤツに粘着されててな」 「…へえ?」  隆は水を飲みながら晴人に返事をする。中身を半分ほど飲むと、コップを置いた。 「ストーカーってヤツか?」     
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