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「ドヤ顔うぜぇ」
「へへ、お前には負けねぇ」
「食うのに勝ち負けとかあんのかよ、ははっ」
晴人は笑いをこらえきれない。
対して、隆は真顔になる。その上で、おどけた声を返してきた。
「男の人生ってのはなァ…四六時中が、真剣勝負なんだよ」
「誰のマネなんだよそれは」
「わかんね」
「わかんねーのかよ」
「あはは」
「あはははっ」
隆との時間は、気落ちしていた晴人を癒やしてくれた。
ラーメンを食べ終えても、晴人は隆に『ジャギュリオン』の案件をこれ以上説明しようとは思わなかった。彼といる時間を楽しみたいと思い、それ以外のことはひとまず心の奥底に沈めることにした。
最近の流行や女性タレントの好みなど、深刻さの欠片もない話題について語ってはふたりで笑った。事情を知らない者が見れば若者ふたりがただ話しているだけにしか見えないが、今の晴人にとってはこの時間こそが心を癒やす何よりの薬になった。
やがてそんな時間も終わりを迎える。
「じゃあな」
「ああ、またな。ここ当たりだったな」
「そうだな、また来ようぜ」
そんな言葉を交わして、ふたりはそれぞれの家に帰った。
(…ふふ)
帰宅後も、晴人の表情は明るい。
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