先輩との距離

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「新鮮だな。でも名前じゃないの?俺も瑠奈って呼んでんだから」 えぇえ!!? 先輩の口からは更に先程よりも上を行った催促。 「名前が良いな~、名前で呼んで欲しいなぁ~、瑠~奈~、呼んでよ~?」 甘えたような顔と声で私の顔を覗きこむと、次に私の制服のスカートをツンツン引っ張って催促する伊勢谷先輩。 こんな先輩、初めてみた。 いつも後輩の私には見せてくれない顔。 もしかして、翠先輩にはいつもこんな風なのかな……? そんな考えが頭の中に過ぎると、不安がどんどん心の中を侵食していく。 「どうしたわけ?」 不安が漏れてしまっていたようで、私の異変に気付いたのか私を覗き込んでいた先輩の表情が突然陰る。 『次は○○駅ー、○○駅ー』 ドキっと心臓が反応したその時、次の駅が近付いているアナウンスが流れる。
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