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「何でも無いです。それよりもうすぐ先輩の降りる駅ですね」
私は心の中の感情をバラしたくなくて、いつもの口調に戻して強引に空気を変えた。
それに次は先輩が降りる駅。
ナイスタイミングでアナウンスが流れてくれて助かった。
すると先輩はムスッとして私から離れると、いつもの定位置に。
「はぁ」
隣から聞こえてきた溜め息。
「もう良いや」
そして私を見ずに吐き出された溜め息と言葉。
ズキリと胸が痛みだす。
もう良いって、どういう意味……?
私、面倒な子だって、思われた……?
それとも、ノリの悪いヤツだって嫌われた……?
伊勢谷先輩はこっちを見てくれる気配がない。
隣に居るのに、伊勢谷先輩とは近そうで、やっぱり遠い……。
そう思うと目頭がぶわぁっと熱くなってきた。
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