先輩との距離

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「……瑠奈ちゃんが居ないから楽しめない」 え。 そう思った時、目の前から聞こえてきた声。 ポカンとする私。 先輩は一直線に開いた扉へと向かって行く。 それって、もしかしなくても…… 扉が閉まるアナウンス。 私は急いで鞄を持って立ち上がるとダッシュした。 ギリギリのところでホームへと飛び降りる。 真後ろで扉が閉まった音が聞こえた。 先輩は五メートル程先、階段を登ろうとしている。 「伊勢谷先輩!」 私は先輩の背中に大きい声を投げると、先輩は勢いよく驚いた顔で振り返った。 私はいつも先輩から逃げていたのかもしれない。 一年は確かに遠い。 でもこの距離を縮めることは出来る。 だって先輩は縮めようとしてくれたんだから。
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