隣席の君

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◇◇◇◇◇◇  それからさらに二年後、僕は受験を乗り越え、地元の市立大学へ入学した。希望をしていた通りではあるから、僕は他人へメッセージを送らずして不幸のメッセージから逃れた事になるのだろう。  だけれども、あのチェーンメッセージがもし本物だったとするならば 『もしこの文章の通りに送る事が出来れば、貴方の人生と未来は輝きに満ち溢れ幸せなものとなるでしょう』 と言う文面の通りに、このメッセージを次の人逹へ送っていれば一体どんな恩恵を受けられたのか、もっとすごい大学に入れていたのではないかと言う下卑た妄想が頭を擡(もた)げて少し後ろ髪を引かれる想いをすることがある。 それでも僕は思うのだ。他人の不幸の上に成り立つ幸せなど有りはしないと。 「おーい!」 遠くで僕を呼ぶ、緋色のよく通る声がした。 「今行くー!」 叫び返して僕は、大学へと続く青々と街路樹の茂った坂道を登って行く。 <了>
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