隣席の君

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 あの悪夢のような一夜が明けた朝、家の裏にある小さな庭へ出ると朝露に濡れた草の葉の影から一匹のテントウムシが空に向かって飛び立つのが見えた。  そう言えば少し前に、学校の廊下の今にも踏まれそうな位置を歩いていたところを指で救い上げたのも、真っ赤なテントウムシだった事を思い出す。  この前道で僕に警告してくれたり怪物の腕をかじって僕を助けてくれたりしたあの子が履いていたのも、あのテントウムシと同じ真っ赤なスカートだったっけ――
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