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まずは飲もう! と誘われたが車で来ているので、飲まない。とキッパリ断った。大丈夫だって、と肩を組んできたので、しつこい! と口調を強めた。
金村は残念がりながらも、女の子を探す目を休めなかった。僕はビーチを裸足で歩きたくなり、サンダルを脱いでサックサック、と足裏を砂に埋めながら歩いた。
すぐに店は見えて来た。南国を再現したイタリアンレストラン。隣の建物は、特に工夫の施されていない ――ジュースやビールが氷と一緒に幼児用プールに浮いていたり、筋骨隆々の男が鉄板で豪快に焼きそばを焼いていたり、――普通の海の家。
オシャレ女子はこっち! と金村が断言するので、昼食は少しお高いイタリアンレストランで摂ることになった。
予想通り、かなり混んでいたが、いいタイミングで前の客がいなくなり、――相席でもいいですよ、と金村は店員に笑っていたが―― 僕たちは中央の、キッチンを丸く取り囲んでいるカウンター席へと案内された。
四角い座面の足長椅子は、お世辞にも座りやすいとは言えなかった。
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