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第一話
コーヒーとミルクを混ぜれば、カフェ・オレになる。
堀戸天音は、オレンジ色になった廊下を歩いていた。
時刻は午後五時。夕陽が校舎をオレンジに染める。
天音は、職員室に向う途中だった。
「あれ?」
天音は思わず呟いて、足を止めた。
職員室の手前には保健室がある。保健室の出入り口付近には体調の悪い生徒が休めるよう、病院の待合室みたくソファが置かれていた。
「青山先輩?」
天音はソファに腰掛けていた人物に声を掛けた。
「……なんだ、お前か」
「お前って、相変わらず酷いですね、センパイ」
天音は苦笑しながら返した。
ソファに腰掛けていたのは、青山虹。美術部の三年で、数々の賞で大賞を受賞する。天音の通う高校では有名人だった。
二年の天音が、何故部活も違う三年生と知り合いなのかと言えば、彼女の所属する部活に由来する。
新聞部に所属する天音は、学校中で有名な彼を取材する機会が多くあった。
虹は基本無口で、口を開いても辛口だが、天音としては取材を通して少しずつ仲良くなれたと思っている。仲の良い先輩と紹介したいところだ。
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