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今日もまた
――ウソつきはドロボウのはじまり。
そう彼女が言ったのは、確か僕たちが小学生だった時。
お父さんに教えてもらったんだって、嬉々として語る彼女の笑顔が印象的だった。
子供心に嘘はいけないことなのだと思った僕は、何があってもせめて彼女にだけには嘘をつかないって約束した。
……けれど、僕は嘘をついてしまった。
できることなら許して欲しいけれど、その謝罪すらも君は満足に受け取ってくれないかもしれない。
だから僕は謝り時を見失いつつ、今日も嘘をつく。
「今日の空は綺麗?」
彼女の綺麗な瞳には空が映らないことをいいことに、嘘をつく。
「綺麗な青空だよ」
梅雨の真っ只中。降りしきる雨を恨めしく眺めながら、僕は今日もまた嘘をついた。
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