婚活リベンジ2

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大学の外に出る。 さすがに誰も追ってこない。 「もう大丈夫」 私は七三メガネに向き直った。 「汗びっしょりですね、お互い」 ハンカチを差し出す。動こうとしない七三メガネの顔を拭く。 「何故…」 私の手首をつかみ、頬を染めている七三メガネ。 「なぜ、俺だとわかったの。親だって気づいたことなかったのに」 「えー。そりゃあ、この切羽詰った状況だからですよ」 私は笑って、七三メガネの髪を崩し、涙で曇ったメガネをとってあげる。 潤んだ瞳の北條さんが私を見下ろしていた。 「めっちゃ私を心配している声。私を案じて伸びてきた手。 あの中でたった一人。北條飛鳥さんだけが私を助けようとしていました」 私は北條さんの指をなぞった。 「他の誰でもない。 ニャーでも、外面良雄でも、あなたはあなた。 あなたはこの世にたった一人の北條飛鳥です」 「…さやか」 私たちは大学の門を見上げた。 「ここ、私の志望校でした。最終学歴にはならなかったけど」 「ああ」 北條さんは愛しげに微笑んだ。 「落ち込みから、何回も立ち上がったんだよね」 ふと、私を見つめ、真顔になる。
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