婚活リベンジ3

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遊園地のお店前で私は激しく文句を言う。 「普通、サーティツーの雪だるま大作戦はですね!」 モテ新妻目指して修行する筈の私。指南役の北條さんにアイス薀蓄を語る。 「無難なチョイスをせず、ボッピンフラワーとギャーニバルで」 「え。ヤダよ、そんな派手なものに派手なもの。人間の食べる色彩じゃあない」 「サーティツーの雪だるま大作戦だから!バニラやイチゴは買わない!」 「ならば、大納言と抹茶…」 「冒険も大事!」 「う」 遊園地の中、アイスを食べる。 「……意外とおいしい……」 「でしょ」 「さやかのもちょうだい」 「どーぞ」 差し出したアイスを見て、不機嫌になった。 「“どーぞ”じゃなくて“あ~ん”だろ。デートしてんだぞ!色気を出せ艶を出せ」 「げ」 アイスを口に突っ込んでやったら、満足そうな顔をし、そのあとは真剣に園内マップを見ている。 「観覧車に乗ろうと思う」 「普通、観覧車は最後ですよ!」 「観覧車で鳥瞰図の園内マップを脳内に」 「お~い、北條さーん。デートに鳥瞰図は不要ですよぅー」 「デートにはマクロ体系が不要なのか、さやか!」 「そんな難しい覚悟は要りません」 「タイムスケジュール…フローチャート…」 「普通に楽しんで時間が余ったら帰って、足りなかったらまた来れば良いです」 「また来ればいいのか」 「はい」 「しかし来年の今頃、さやかは人妻かもしれないんだぞ」 「え!?」 「金純の就活・婚活は成功率業界トップ。だから来年はトコロテンのようにツルリとさやかは人妻に…」 「トコロテン人妻…」 「…人妻になったさやかと平日の夕暮れ。サーティツーの雪だるま大作戦。 最後に観覧車、薬指には結婚指輪…」 「凄い妄想ですね。私、来年の今頃も間違いなく、あなたとボッピンフラワーとギャーニバルですよ。 北條さんこそ、業界ナンバーワンの婚活をした上に、釣書も由緒正しいんだから! 来年の今頃は美しい奥様と指輪をキラリーン観覧車!」 「俺は惚れた女に指を縛られるために、色々努力してきた」 「SMプレイですか?」 「…頑張って張った伏線も、逸脱される。 つかまえたかと思えばツルンと逃げるトコロテン女」 「気の毒に」 「だが俺は観覧車に乗る!鳥瞰図は大切だ!」
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