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始業式の途中、私は先生に呼び止められた。
急ぎ病院に駆け付けた時には、既におじいちゃんは息をしていなかった。
十年前から入退院を繰り返していたけど、その日は突然に訪れた。
その顔はとても穏やかで、私には眠っている様にしか見えない。
おじいちゃんとの別れを実感したのは、おばあちゃんが泣きながら火葬炉のスイッチを押した瞬間だった。
私はその時、初めて涙を落とした。
私はその時、改めて悔やんだ。
どうして、もう少し待っててくれなかったの?
どうして、恩返しする前に逝ってしまったの?
隣で背中を丸め、肩を震わせているおばあちゃんが視界に入り、私はその場で手を合わせて、おじいちゃんに誓った。
ーおじいちゃん、今まで迷惑ばかりかけてごめんなさい。おばあちゃんは私が守るから、安心して天国に行って下さいねー
そんな私に、中学からお世話になっていた不良の先輩から電話が来たのは、おじいちゃんが亡くなってから十日程経った頃だった。
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