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おじいちゃんが天に召されて十日程過ぎたある日、その電話はきた。
それは、一昨年卒業した、不良仲間の先輩からだった。
「カオリ? 久しぶり。私よ、分かるかな」
「あ、せ、先輩、ですか?」
その特徴あるダミ声は、二年ぶりでも、すぐにその人だと分かる声だ。
「突然ごめんねー。ねえねえ、カオリ、バイトする気ないかな」
本当に突然だと思った。でも、この人は、元々そういう人だという事も分かっていた。
でも、それは普通のバイトではない事は、次の言葉で直ぐに分かる。
「一日で十万は出すよ」
「先輩、まさか私にウリを・・・・・・」
スマホの向こうから、先輩は怪しげな笑い声が聞こえてくる。
「大丈夫よぉ。心も体も何一つ傷付けないから。それは保証する」
ますます怪しかった。そんな都合のいい話があるはずない事くらい、バカな私にだって分かる。
「取り敢えずさぁ、明日、学校終わったら、いつものバックスに来てね。待ってるから」
それだけ言うと、電話はすぐに切れた。
おじいちゃんを亡くしてから、ずっと登校してなかったけど、取り敢えず先輩を怒らすと怖いと思い、学校の終わる時間になったら、そこに行くだけ行ってみようと思った。
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