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そんな妻に生前、自分の棺に煙草は入れないように約束された。
「ゆうくんに嫌われたくないんだよ。約束守ってないなんて知られたら、嫌われちまうだろ?」
咥え煙草で真面目に語る妻に、笑ってしまう。
私は、分かったと強く頷いたようにみせた。
しかし、彼女の棺には煙草を入れるつもりでいた。
孫が、妻を肺がんへと追いやった憎むべき物として、煙草を見るように。
孫が煙草を手にとることなどないように。
私は、あの時、初めて妻に嘘をついた。
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