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そうしてしばらくの間ただ泣き続け、ようやくその涙も枯れてきた頃、
──ピンポーン。
玄関のチャイムが鳴ったので、私は涙の跡をぬぐって、重い腰を上げた。
「・・・えっ」
インターフォンのカメラに映っていたのは、よく見慣れた黒いパーカーの彼。
心臓がドクンと音を立てた。
「・・・どうしたの?」
ためらいがちに応答する。
『今なにしてんの?』
「今?・・・お昼ゴハン食べてた」
『ちょっと上がってもいい?』
「あ、うん・・・今開けるね」
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