ロマンスさえ始まらない関係

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夏樹には彼女がいる。それこそ目の中に入れても痛くないほど、溺愛している彼女がいる。 そんな夏樹と私が身体を重ねるようになったのは、彼が彼女と出会うよりも、もっとずっと前のことだ。 きっかけなんて忘れた。そんなこと、覚えていても意味がない。 私は夏樹の彼女じゃない。だから、共有する思い出なんていらない。そんなもの、あっても痛いだけだ。 だって私は、夏樹にこれっぽっちも愛されていない。 ……私が彼を、どんなに愛しても。
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