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──ある日曜日のこと。珍しく昼間から私の家を訪ねて来た夏樹は、我が物顔でリビングのソファーに転がった。
「ねー、リナー」
テレビのチャンネルまで占拠して、どうでもいいサスペンスをぼんやり見ながら、傍らの床に座り込んで雑誌をめくる私を呼ぶ。
「ん?」
「彼女さー、浮気してるかもしんない」
「え、なに、浮気って」
「いや、言葉通り」
「なんで? なんか様子おかしいの?」
「いやー、してるかもっていうか、ほぼしてる。オレ見ちゃったんだよね、他の男と腕組んで歩いてるの」
「まじか、現場見たんだ? きついね」
「つーかひどくない? オレすげー大事にしてんのに。浮気とかあり得なくね!?」
夏樹が、あまりにも真面目に怒った顔をしたから、私は思わず吹き出してしまった。
「え、今の笑うとこ?」
「だって夏樹だって、私と浮気してるじゃん」
「はあ? 浮気じゃねーし」
「じゃ、なんなの?」
なんなのって、そんなこと聞きたくもないのに。話の流れでつい口走ってしまった。
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