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「え? うーん……行き過ぎた友情?」
友情、ね。わかってるよ。
あらためて言葉にされると、心臓が抉られたように痛くなるけれど。絶対に泣かないって決めているから、今さら涙なんて出ない。
夏樹の為になんか、泣いてあげない。
「オレ、お前のこと大好きなんだもん」
死ぬほど欲しい言葉を、夏樹は簡単に口にするけれど。大好きの意味が、私の望むものとは違うのは、ちゃんとわかっている。
「はいはい、で? 彼女、どうすんの? 浮気してんでしょ。別れるの?」
そう訊けば、夏樹は急にとても寂しそうな顔で笑う。私の心臓はまた、キュウキュウと悲鳴を上げた。
「別れない。オレ、アイツいないとかムリだし。……浮気してても、オレの隣にいてくれるならいいや」
「そう……。夏樹がそれでいいならいいんじゃないの?」
「……ね、リナ」
「なに?」
「抱かせて」
なんだよそれ。ずるいよ、私に逃げんなよ。
……そう言えたら楽なのに。
たとえ友情でも、身体だけの関係でも、失うのが怖くて。私は自分の痛みと一緒に、夏樹の痛みも引き受けてしまう。
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