印象、日の出

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「一辺、二メートル弱の、正方形のキャンバスにしたいん」 「でっかいなあ。俺の彼女すごいってみんなに自慢しよ」 「私、彼女やったんや」  つきあおうと言われた覚えはなかった。 「え? 違ったん?」  私は、考える。していることは、たしかにそうかもしれない。 「付き合ってるのやったら、よかった」  ほっとしている自分がいる。 「ほんまごめん……俺なんも言ってなかったかも……百音のこと、好きでたまらへんと思っとるのに」  全く気づかなかった。 「せやけど、そんなら、俺ってめっちゃひどい男みたいやんな」  結城君はかなり狼狽えている。 「えー、なに? 百音って、付き合ってる認識ないのに、俺と……」  結城君が頭を抱え込んだ。 「百音は誰でも良かったとか、ないやんなあ?」 「だから、結城君としかそういうことしないから、わからへんて」 「俺じゃなくてもいいかもしれへんの?」  そういう風に訊かれても、どう答えたらいいのかわからない。  結城君が立ち止まる。私も足を止めた。 「百音は俺のことどう思ってるん?」 「わからへんけど……」  奥さんに電話をかける人見さんの背中をみて湧き上がった感情がある。 「私も自分の大切な人に今すぐ会いたいって思って……真っ先に結城君の顔が浮かんだ」
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