印象、日の出

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「なに、その威力。家まで待てへん」  いきなり抱きしめられる。頬にコートのボタンがあたる。やっぱり包まれるのは心地良い。鼓動が近くにある。目を閉じて聞き入った。  それにしても長い。 「家、もうすぐやん」 「そやな」  結城君がようやく放してくれる。  角を曲がれば結城君の下宿につく。歩き始めた。 「百音……あんなあ……」 「なに?」 「俺、百音のこと大事にしたいと思っとるんやけどな……」 「ありがと」  言葉にされるのは、結構嬉しいものだ。 「せやけど、今、めっちゃ……したい……嫌なんやったら、このままでかけて……」  絵が描けなくなっていたことを、まだ気にしてくれている。  私はずっと、結城君のことを誤解していた。 「嫌やないし……」  私もちゃんと言葉にしてみた。 「ごめ、聞き取れへんで……」  声が小さすぎたようだ。 「私も、したい」  言った途端に恥ずかしさがこみ上げて、私は自分の顔を覆い隠した。
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