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まだ中にいる気がした。意識した途端に、下腹の奥がキュッとなった。声がもれる。
「百音……大丈夫?」
心配をかけたら悪い。
「少し……変な感じしてて……」
「大丈夫やろか……」
「まだ、感じちゃうだけやから……」
私は毛布を頭からかぶった。結城君がはがしてのぞき込んでくる。
「ほんまに?」
毛布の中に入ってくる。
「俺、もっと頑張るし」
「私もよくわからへんけど……少しずつなれていけたらと思っとるし」
結城君から抱き寄せられた。
「ほんま大事にする」
腕の中で目を閉じる。私にもちゃんと思ってくれている人がいる。結城君の鼓動を聞きながら、人見さんのことを……私と同じ歳の奥さんのことを思い出した。
「結城君……」
「何?」
「死なんといてや」
言葉にしたとたん、悲しいのかもよくわからない感情が溢れ出した。
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