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 泥のような熟睡の後の目覚めにはいつも、 当たり前のように睡(すい)が隣で寝息をたてている。  早朝の、湿度の高いひんやりとした部屋の空気。 それがゆっくり降りてきてシーツの中で凝固したかのような、安らかな寝顔。  二人、向き合った姿勢で、 あたしのウェストに右腕をまわしたまま眠り込んでしまうのが、彼の癖。 その腕の適度の重みと、掌のしっとりとした微熱。  あたしにとって彼は“眠り”の精そのもの。 …あたしに安らかな眠りを運んで来る。 あたしをそっと包み込んで眠らせてくれる。  彼は、その名の通り“睡魔”なのかもしれない。慢性の不眠症のあたしの為に、宇宙のどこからか送り込まれた睡魔。
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