一枚目 突然

5/7
前へ
/66ページ
次へ
楓真は足で保健室のドアを開けた。 「あら?七瀬さん!」 「あの、熱あるみたいなんですけど…。」 楓真は保険医の焦りように違和感を感じたが、何も言わなかった。 「とりあえず奥のベッドまで運んでくれない?」 「わかりました。」 楓真は奏をそっとベッドの上に横たわらせた。 その瞬間保健室のドアが開き、奏のカバンを持った女子が立っていた。 楓真は帰ろうとしたんだが… 「行かない、で…。」 奏が弱い力で楓真の腕を掴んだ。 「は…?」 その言葉に驚いたのは、楓真もだがそこにいた女子もだった。 「今親御さんに連絡したら、お母様が来てくれるみたいって…。あんた達そういう関係?」 保険医は楓真の腕を掴んでる奏を見てそう言った。 「いやいや!なんか掴まれてるだけなんですけど…。」 「なら、ちょっと残ってて。来るのお母様だし、七瀬さんを車まで運ぶ男手がいるから。」 楓真は確かにそうだなと思い、保健室に残ることにした。 「それはいいんですけど、購買行ってきてもいいですか?昼ご飯無いんで…。」 「それは構わないわよ。」 楓真が行こうとしたら… 「いや、だ…行かないで…。」 「…その状況は買いに行けないわね。」 どうしたもんかと、楓真が頭を抱えた瞬間、 「私、買ってこようか?」 その場に残ってた女子が言った。 楓真は断ろうとしたが、この状況は受け入れた方がいい思った。 「ごめん、じゃあお願いしてもいい?僕のカバンの中に財布があるから。」 「人のカバンあさる趣味はないよ。また明日でも返してくれたらいいよ。」 そう言ってその女子は保健室を出た。 楓真は明日ちゃんとお礼をしないとな、と思い彼女の名前を思い出そうとしたが、思い出せなかった。
/66ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加