5人が本棚に入れています
本棚に追加
楓真は奏を抱き上げた。
「車どこに停めてますか?」
「隣のコインパーキングに。」
楓真は美桜の方に向いた。
「多分僕、次の授業遅れると思うから先生に言っておいてくれないかな?」
「うん、わかった。」
そう言うと楓真は奏を抱えたまま保健室を出た。
奏の母親は車のロックを外し、後部座席のドアを開けた。
「あ、ありがとうございます。」
楓真はそっと奏を車に乗せた。
その時屈んだため、奏は楓真の前髪の下の素顔を見たが、意識が朦朧としていた。
「じゃあ、お気をつけて。」
「本当にありがとうね。」
楓真は颯爽とその場を離れた。
教室に着いた頃にはもう授業が始まっていた。
皆、楓真が教室に入ると、もてはやした。
楓真はどこか居心地が悪そうに自分の席に座って、授業を受けた。
その翌日、奏は学校には来なかった。
最初のコメントを投稿しよう!