零枚目 約束

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僕の名前は、上木(うえき) 楓真(ふうま)、先崎高校の二年。 身長はどっちかって言うと高い方で、顔は…目まで前髪で隠してる。 教室でも空気みたいな存在。まぁ、いじめられたりしてないからいい。 趣味は絵を描くことで、美術部に入っている。 今日も教室に入っても誰にも気づかれることなく、自分の席に座った…はずだった。 「あ、おはよう、上木くん!」 僕に声をかけたのは学校のマドンナ七瀬(ななせ) (かなで)だった。 今年初めてクラスメートになって、先日の席替えで隣になった。 「え、あ、おはよう…。」 奏はその後も変わらず、友達と話していた。 その後先生が入ってきて、SHRが始まった。 ささっと連絡事項を伝えると、先生は去り、みんな一限目、古典の準備をした。 楓真も引き出しから古典の教科書と文法書、ノートを出した。 「あっ!!」 その声を聴いた楓真は、なんとなく隣を見た。 するとちょうど奏もこちらを見ていて目が合った。 「上木くん、文法書見せてもらってもいい?」 「え、あ、うん。」 すると奏は机を楓真の方に寄せた。 その後授業が始まったが、楓真は全く集中できなかった。
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