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とある東京の美大―――。
「楓真―、今日バイト?」
「無いけど。」
「なら、どっか行こうぜー!」
「いいよ。」
楓真は大学三年になっていた。
美大生はおしゃれな友達も多いからか、大学生になってから服装にも気を配り、一段とかっこよくなっていた。
街を歩いていればスカウトされることも多いが、楓真は全く興味を示さなかった。
「あの!上木くん!!……今度、私を描いてくれないかな?」
美大生特有の遠回しの告白だ。
だけど、楓真は奏以外の女性を一度も描こうとはしなかった。
「ごめんね。」
「……そっか。」
そう言うとその女生徒は去っていった。
「今の子可愛いじゃん。何がダメなの?」
「ダメってわけじゃないよ。僕が描けないんだ、……彼女以外。」
「彼女って付き合ってる人いないんだろ?ならいいじゃん、描いてあげれば。お前、顔良し・スタイル良し・センス良し、その上絵も上手い。もったいないぞ、その才能。」
男2人で校門へ向かって歩いていた時、前から一人の友達が来た。
「なぁ、校門のところで上木のことさがしてる人いたんだけど。」
「誰だろう?」
「また告白か?」
楓真はたまに他校の生徒からも告白を受けていた。
楓真自身もそう思っていた……。
しかし校門にいたのは、楓真が描きたい人だった。
「奏……?」
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