一枚目 突然

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それからも毎日絵を渡すようになって、二週間が経った。 おかげで楓真が奏を狙ってるなんて噂も出てきた。 そんなある日、楓真は朝登校してきたときに隣の奏の顔色があまりよくないことに気づいた。 ファンデーションを濃くしてるみたいで他のクラスメートは全く気づいてない。 楓真はSHRが始まった時、奏に紙きれを渡した。 『顔色悪いけど、大丈夫?』 奏はその文字に驚いた。 奏は誰にもバレてないと思っていたんだ。 『大丈夫!ただの寝不足だから。ありがとう!!』 そう書いた紙を楓真に渡したとき、奏の胸がキリリと痛んだ。 奏は今までたくさんの嘘をついてきた。 いまさら胸が痛むことなんてないのに、なぜか楓真には嘘をつくことが悲しかった。 奏は知らなかった。 この嘘がもうすぐバレることをーーー。
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