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リヴの家は貧乏貴族だ。
一応王都の近くに領地を持ってはいるが、小さな村と山しかない。
その山も領地は山のごく一部で、鉱物の採れる場所は反対側。
税収でウハウハどころか家計は常に火の車である。
リヴは今年で17才。
本来ならとうに社交界デビューをはたしている年頃だが、ドレスを買うどころか日々の食費にも事欠く。
今はリヴの作家業でかなりマシにはなったが、それでも父親は王都で商家の門番をしており、その金を国に納める税金の一部にあてている。
領地からはまともに金など入らないのに領地があるのだからとしっかりその分の税金は取られる。
これいかに。
それでも領民たちはたまに帰ってくる領主を歓迎してくれるし、一人領地に残っている兄はその家族と共に懸命に領主代行を努めているから、なんとか取り上げられないように頑張っている。
そんなリヴは今新作を執筆中だ。
待望の男と男のラブロマンスである。
渋る出版社を絶対一定以上のニーズはある!と説き伏せて執筆までこぎ着けた。
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