月と君と彼と

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「九方さん、で良いんですよね。 それで俺に何の用ですか?」 「あっと、そうでしたね。 早く要件を話すべきなんでしょうが、 その……少し込み入った話になるので 良かったら何処か喫茶店でも入れないですか? 勿論、校則違反に該当しなければですけど」 「良いです」 彼が即答したことに俺は内心苦笑した。 一見しっかりしているように見えるのに やっぱりそこはまだ高校生か。 警戒心が低すぎる。 自分から振っといてなんだが 何も要件すら話さない上に店に連れ込まれようとしているのに こうもアッサリ許諾されると些か心配になってきた。 「……私が言うのも変ですが そんなに簡単に人を信じると危ないですよ?」 「ご心配には及びません。 それなりに人を見る目はありますから。 貴方は良い人ですよ」 「……!」 訂正。 この分じゃ頭も相当キレそうだ。 「ありがとうございます」
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