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この世界が何なのかはまったくわからなかった。
あと一撃で死ぬ、痛みと恐怖で絶望している俺の
前で俺を殺すべく行動を起こしたその雑魚の
スライムは上空から降ってきた
一本の銅の槍に貫かれ絶命した。
「なっさけねえな。初期エリアの雑魚相手に
死にかけるとかありえねぇだろ。」
そう言うと俺を哀れみと侮蔑の表情で
見下ろす一人の少女がいた。
銅の鎧と銅の槍を装備した。
立派な槍騎士は俺の手をとると
腰の袋から薬草を出して
渡してきた。
「飲めよ。10くらいは回復するぞ。」
どうせ、3ゴールドで売ってるし
そこらを探索すれば拾えるぞ、
そう言うと、遠慮する必要はないとばかりに
大仰に手を振った。
「あ・あ・ぁ、ありがとうございます~~~。」
俺は緊張が解けたのか、
助かったと言う事実と、
まったく無関係な他人を
何の見返りも求めずに
助けてくれた人がいたと言う事実に
感動して号泣しながらひたすら
お礼を言い続けていた。
もぐもぐと薬草をほおばり
飲み下した。
ニガヨモギやドクダミのような味かと思いきや
意外なことに、オレンジ味だった。
槍戦士は、草原に出かけたプレイヤーが
二度と戻らないことが
しばしばあって、そういった初心者を
手助けして回っているらしい。
「お前職業何?」
槍戦士は俺があまりにも弱いので
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