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監獄の住人 Citizen of Prison
序文
19世紀 現在の日本円での資産価値にして 2京円。
世界の6割を支配したとされる閨閥 ハートシルト。
その記録は 初代ハートシルトの死と同時にすべて焼却されて、
一族でもその真相は知らない。
イルミナティ、フリーメーソン、ユダヤ賢人会議、300人委員会。
通貨発行権と軍事力を手に入れるまでの長い道のりだ。
現在、大統領を意味する 「ナスィ」本来は 「国王」を意味していた。
18世紀大英帝国マンチェスターで起きた、あまり知られていない事件から
その隠された、歴史の真実を紐解こう。
A
ここは、18世紀半ばの大英帝国の薄暗い路地裏。
まだ、陽も上がらない午前浅く、10代と思われる青年は
その日、酔った窃盗団の頭領が忘れていった皮袋を手にしていた。
半年くらい前から、3つ年下の彼の妹は体調を崩しており、
原因はわからないが、死んでしまうのではないかと心配だった。
乞食同然の彼、ライアンに助ける方法が無かった。
だが、頭領の皮袋には山のような宝石が入っていた。
ライアンはこんな生活から抜け出したかった。
自分が無理でも、せめて妹だけはまともな生活をさせてやりたかった。
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