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しばしの沈黙が流れる中、ハイヤーハムシェルの頭は
フル回転しすぎて、パニックになっていた。
先ほどの首と胴が離れると言う脅しにドキドキしながら
様子を伺っていた。ハイヤーハムシェルも実際、
物理的に首を斬られた人間を百や二百では利かない数を見てきた。
その理由は、些細なことも多い。
犯罪はもちろん、居眠りや、失敗、身分の高いものに「態度が悪い」などと
言いがかりをつけられたり、枚挙に暇が無い。
それにこのラビなんだか迫力がある。
いつも行くシナゴーク(ユダヤ礼拝所」)のラビとは
明らかに違う。
落ち着いてきたハイヤーハムシェルは、
これは何か答えなければまずいな、などと頭を回転させる。
しかし、なぜ私にこんな話をするのだろう。まったく意味が無いような気がする。
解決方法がわかるくらいなら、当の昔に進言している。
意を決し、思いつく限りを述べる。
「宝石は、我々ユダヤ人が鑑定しなければ価値がわからず、
盗まれても、奪われても、換金できない。」
「それは貴族であっても同じ、必ずカルテルに見つかるはずです。
ましてや小さな宝石など、貴族が隠れ持つ意味も、買う意味も無い。」
「故に我々は、宝石を主要財産としている。違いますか。
なぜ、そのような質問を。」
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